ネタとか書き殴りとかSSとかの倉庫
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東條晶
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あきらぼSSブログ
主に青祓、鋼(どっちにしろ弟兄)
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2011SCC新刊サンプルです。
獅郎とちったいツインズと付喪神の話。
++++++++++++++++++++++++++
薄紅が、舞いちる。
ひらひら、ひらひら。
一面の薄紅が、誇らし気に咲き誇る。
「うわぁぁ!」
「すごおい!」
初めて見るであろうその、壮大な光景に幼い子供達は上向いたままそこを大きな瞳で見詰めていた。
しかし、獅郎はそんな幼子を視線の端に捕らえながら目の前の男から詳細を受け取っている。
「……じゃあ、棣棠がやられたって言う事なのか?」
「ええ。お館様はそちらに詰めておられます故、早急にお出で下されよとの事」
「へーへー、人使いの荒いこって」
本当ならば、こんな場所に連れて来るべきではない。
だが、護り手の薄い修道院においておく訳にも行かなかったのだ。
「じゃあ、うちの子達、頼む」
「ご安心を。此処は神域、下手を打てば我等ですら身を灼く場所ですから」
幾重にも重なるように咲き誇る桜の枝が、視界を覆い隠す。
そうやってこの屋敷ごと守っているのだとは、彼の媛君の言葉だ。
「おーい、おまえらー」
声をかければ、とたとたと小さな足音が駆け寄って来る。
「どーしたの?」
「とうさん?」
興奮してか、頬がほんのり紅色だ。
可愛いなぁと頭を一撫でしてやって、獅郎はしゃがみ込んだ。
「父さんは、ちょっとお仕事して来るからな!イイコで留守番出来るかお前ら!」
「はい!」
「うん!」
もの凄くいい笑顔で頷く二人に満足そうに頷いて、獅郎は背後にある屋敷というにはこぢんまりとした建物を指差す。
「あそこに、弁当とかは置いてあるから、腹へったら喰うんだぞ?後、この兄ちゃんがお前らと一緒に居てくれる。あんまり困らせんじゃねーぞ、特に燐」
むに、と子供の片割れの方の丸い頬を軽くつまみ上げればじたばたと逃れようと暴れ出した。
「ら、らにふんらおぉ!」
「とうさんやめて!」
力など入れては居ない腕にこれまたちいさい掌が縋るようにしがみつく。
「だいじょうぶだよ、ぼくいっしょにいるから!」
「そっかー。雪男と一緒なら大丈夫だなー?」
「らいひょううっへいっひぇんひゃん!」
「だいじょうぶだからにいさんのほっぺつまむのやめてよお」
子供の頬は本当によく伸びるなぁとか思いながらむにむにとつまんでいたのだが。
「あ、あの、藤本神父……」
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2011SCC新刊サンプルです
大人ツインズで、パラレルワールドで、ちったいゆきおとおっきい燐とカッコいい獅郎って言う誰得コンボです。
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「………ぅ、う、あ?」
薄く開いた目に飛び込んできたそれが、余りに記憶のものと同じで。
「って、え、ええええ?こ、ここどこ?」
思わず声を上げて跳ね起きて、辺りを見回す。
窓から見える風景はおろか、家具の配置から何から、それは全く同じもので。
あの男が言っていたことをうっすらと思い出し、ここは何処なのだろうと改めで思い直す。
自分を見てみれば、洗い晒しのシャツに着替えさせられていて、壁には汚れの落とされたコートが掛けられていた。そして、倶利伽羅も壁に立てかけられている。
夢ではないのだ、とそれだけでも十二分に理解できた。
立ち上がり、コートの隠しから携帯端末を取り出してみてみるが、アンテナははっきりと圏外を示している。
「……枝、だっけ」
ようはパラレルワールド、と言うことなのだろう。
一つの違いから分岐していった世界。そのうちの何処かに自分は迷い込んでしまったのだ。
コートを叩いてみれば、ポケットにあの裂け目に落ちかけたときにもみ合いつつ男から奪った鍵があった。少し錆が入ったそれを自分の首から下げている鎖に繋ぎ、階級章や免許が無事だったのも確認する。
「……これが変わってないってことは、俺は自分のままってことなんだろうな」
免許には、はっきりと自分の名前と写真があった。
マンガや映画でよくあるのは、同じ存在は同じ空間に存在できないと言うこと。しかし自分がここに今そのままで存在するというその事実が、この世界がどういう状況かを雄弁に物語る。
「……はぁ」
しかし、どうしたものか。
記憶が正しいのであれば、ここは間違いなく。
そう考えていた矢先、がチャリとドアが鳴った。
「お、おはよう、ござい…ます」
振り向けば、昨日一瞬見た記憶のある子供が顔をのぞかせている。
「……おお、おはよう」
この子供が、誰なのかは解っていた。けれどそれを告げてはいけないと、何処かで警鐘が鳴り響く。
「お前が俺を見つけてくれたんだよな?」
なるだけ優しく笑ったつもりだったが、子供はびくりと体を強ばらせて何度も頷いた。
「あ、は、はい。そう、です」
自分は、見知らぬ人に、違いない。
そう思うと少し悲しくなるが、仕方ないと割り切って。
「そっか、あんがとな」
笑って、返す。
それにつられたのか子供も小さく笑うと、思い出したように顔を上げた。
「おとうさんが、お話したいからきてくださいって」
その単語に、一瞬体が強ばる。しかし、それを理由にはできないと一つ頷き、手に取っていた階級章などをポケットにねじ込んでドアの前まで来てしゃがみ込む。
そして、視線を合わせると、精一杯の笑顔を浮かべて、子供の瞳を見つめた。
「了解。案内してくれるか?」
「は、はい!こっちです!」
大きく頷いた子供の頭をぐしゃりと一撫ですると、先導するその子供を追うように足を進める。
眼に映る光景が余りに懐かしくて、胸の奥がずきりと痛んだ。
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