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ツイッターで時折書いてる140文字で何処まで出来るのかSSです。いくつか纏めてみました。
勢いだけで書いているので燐雪にょたが多いんですが読み方によっては
雪燐だったり燐雪だったりに取れると思いますのでその辺りは皆さんが
そうだと思ったかけ算や矢印で想像頂ければと思います。






++++++++++++++++++++++++++




#1
絆創膏だらけの指先がぐいと皿を押し付ける。味は保証しないとそっぽを向いたまま渡されたそれは卵焼きで。なんだか懐かしくなる。一つ食べれば、確かに俺のとは比べ物にならないけれど。
「うまいぞ」
そう言って目をみれば、その頬は瞬間湯沸し器のように一気に真っ赤に染まって。ばか、とただ、一言。


#2
級友達が香水や化粧のことを騒ぎ出した頃、僕の両手はいつも同じ香りがした。薬草と試薬と硝煙が入り交じった香。この路を選んで、この運命に囚われたことを示すそれを、ただ一人の貴方は僕の香だと言ってくれた。
日溜まりと何処か淡い血の香の貴方がそういって笑うから、僕はこの香りが好きになれる。

#3
時折、夢に見る。
深く青い澪に沈んでいく夢。
息が苦しくて胸が張り裂けそうで、たすけてと手を伸ばすと、その手はしっかりと掴まれて重なる唇から酸素が分け与えられる。
誰?と瞼を上げれば見知った、けれど知らない顔。
いつか会えると囁く彼は、きっと遠い先に側にいるあなたなのですかと、夢に問う。


#4
愛しているなんて、言えるわけがない。
何しろ自分は悪魔で、あいつは人間で。
それ以前にきょうだいで家族だったから。
ずっと、自分はおかしいと思っていたが決定打を喰らうとは思いもしなかったのだ。
愛しているなんて、言えるわけがない。
あいつは俺を兄さんと呼んで。
花のように笑うのだから。



#5
当たり前のように隣にいた。
当たり前のように手を繋いだ。
当たり前のように笑い合い、泣き合い、抱き締めあって。
当たり前のようにキスをした。
当たり前だと、そう信じていた幼いあの頃。
今胸に降り積もるのはあの小さな思い出よりもずっと重く絡み付く恋情。伸ばした指先は触れ合う事も出来ないまま。


#6
なあ、と鼓膜をくすぐる声。心地よい音。
なぁに、と振り向けばくしゃりと笑ってゆきお、と呼ばう。
誰でもない、自分だけに向けられる音。その特権は自分だけだと思っていたのに。
「にいさん、て呼んでくれよ」
どうやらそれは、あなたも同じ思いだったのだと漸く気付いて。
途端に胸はとくりとはぜる。
#7
産声は、柩の中から発したも同然だった。
血に染まり、ただ嗚咽を噛み殺している姿は殉教者のそれに似て。夜明け間近の薄青い光を受けて余りにも神々しく。
(悪魔なのに)
そう思わずにはいられない程に。
だから掛ける言葉を忘れた。
総てを知ってその上で押し黙る自分の存在こそが。
(悪魔そのものだ)


#8
一緒だったらよかったのに。
この身も貴方と同じように変貌し人の枠から外れてしまえば、貴方一人をこんな苦しみに落としはしなかっただろうに。
伸ばした指が触れた頬はやけに冷たくて。けれど柔らかくて。ただ壊れたように泪が溢れ落ちる。
目を開けて、にいさん。
言葉は断首の御標から返ることはない。
#9
夢を見た。
俺も雪男も人のままで父さんが笑っててみんな笑ってて、そこにいこうとしたら全部青い炎に飲み込まれた。
それは俺のからだから出てて、やっぱり俺は人じゃなくて悪魔で雪男がそんな俺に銃を向けてこう、言った。
兄さん、いっそ二人で堕ちてしまおうか。
ダメだと叫んでも本当は嬉しかった。


#10
たったふたり。
そう、この世界に二人しかいない。
僕らは互いにそんな存在だ。過度と言うには余りな依存、年を追う毎にそれは度を増し今では離れた途端に平静を喪う精神。
何故と問うなら貴殿方が僕らを人の括りから切り離し二人しかいない存在にした。
お理解りか?魔神を産むのは人の感情だという事を。

#11
終わりかな、と思う。誰もが俺を悪魔と罵り喚き最終的に殺しに来た。雪男も間に合わない。でも、こいつらに反撃する気もない。
怖いよな、人妖だもんな、仕方ないよな。
傷みと熱が体を覆う。もういいと目を閉じたとき聞こえた銃声。
バカだな、なんで来た。来たらお前は俺を殺すしかないだろ、正騎士殿?


#12
その柔らかな肌に刻まれた赤い疵から流れ落ちる血液だけではない。この体を構成する全てがいとおしく、滴るそれはただ甘く、食む肉の柔さにすら目眩がする。
その姿での存在を赦されないならばいっそ僕のこの身の内で。人の狂喜が喪わせたその命ごと貴方は生き続ける。
欠片も遺さず僕の中に取り込んで。





++++++++++++++++++++++++++

2011.6.26 青の聖域

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