ネタとか書き殴りとかSSとかの倉庫
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東條晶
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主に青祓、鋼(どっちにしろ弟兄)
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家―――といっても結局は学園内のメフィストが趣味で建てた建築物の一つを譲り受けたのだが―――に辿り着いてまず燐の目に映ったのは段ボール箱の山だった。
『めふぃすとが おいていったぞ!』
家の前で帰りを待っていてくれたクロが、段ボール箱の上に飛び乗ってぺちぺちとそれを叩いてみせる。
まあ、この家の中に無断で進入するような芸当ができるのはメフィストくらいしかいないのだから、聞くまでもなく犯人は一人しかいない。そして実際山と言っても段ボールは四つほどだ。開けてみるしかないかとクロに降りるように言って抱えたままだった雪男をソファへと下ろした。
「また訳のわかんねーフィギュアとかじゃねぇ……おおお?」
「兄、さん?」
クロを膝の上に載せて首を傾げてる雪男に燐はちょいちょいと手招きをして見せた。
「おい、雪男来てみろよ。これお前のだ」
新品だろうか。まだタグもついたままの服がどっさりと入っている。長期戦になる事を見越しての事だろうが、しかしこの段ボールの数は流石にと思いながら別の箱を開けてみればそこにはサイズの小さな靴や鞄。随分昔に見た覚えのある悪魔薬学や印章学の教科書、筆記具等まできちんと揃っている。
「おいおい……まさかな」
それを見て目を輝かせ、そっと取り出しては頁を捲る雪男をそのままに、燐は嫌な予感しかしない最後の箱の蓋を開いて。
そこにあった物を見て、それはそれは深く溜め息を吐くしか無いわけで。
どうしたの、と覗き込んで来た雪男は逆にそれを見てビックリしたようだったが、まあどのみち着せねばならないのだから見ても構いはしない、と燐は完全に諦めた状況でそれをハンガーにかけるべく手に取ったのだった。
「なあ、雪男。お前自分が今なんでここにいて、何で俺が大きくなってるのかって解るか?」
言葉に、雪男は小さく首を振る。当然だ、記憶は七つくらいまで逆行しているのだ。自分が兄だと気付いたのは、多分双児という血の繋がり故なのだろう。
「ちょっと、これ見てみろ」
目の前に出したのは、二つの階級章と免許だ。
「…父さんのを見た事があると思うけど、これは俺のと、お前のだ」
銀色と、金色の御標。そして肩書きの違う免許に刻まれたその名前と、写真。
そこには確かに奥村雪男、そして奥村燐と記されている。
「……二十年……たってる」
「ああ、お前の身体と記憶は逆行している。信じられないかもしれないけど、ここでのお前は上一級祓魔師で、次期四代騎士と言われる実力の持ち主なんだ」
「で、でも僕はただの子供で、塾に入ったばっかりで、何も出来なくて」
「だな。まあ、俺も塾行き始めた時はそんなもんだったしな。ただのガキで、どうしていいか解らなくて、何も出来ないしさ。それでも、お前は俺の隣にいてくれた。小さい頃と同じように、俺の側にな」
泣き出しそうな目を見つめ、そっとその頬に唇を触れさせる。
「―――――誰が何といおうとお前は奥村雪男。間違いなく、俺の大切なたった一人の弟だよ」
だから、大丈夫。
呟いたそれは根拠の無い言葉だった。
「もし、記憶が取り戻せなくても、俺はお前と一緒に生きて行く」
でも、それでも今の雪男にはどんなに力強い言葉であったか。
見開かれた瞳からぽろりと涙は落ちたけれど、雪男の顔は笑みで溢れる。
小さな掌が、しっかりと燐にしがみついてその顔を胸に押し付けて。
声を上げて泣き出した小さな弟を、燐は少し慌てて、それでも何処か嬉しそうな顔で抱き締めたのだ。
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